「……キス、してほしい?」
そう言うと柊くんは、空いている左手を私の右手にそっと添えて、
指と指を絡めるようにして私の手を優しく包み込んだ。
柊くんの温もりが、私の手にじわりと伝わってきて。
冷たくなった私の指先までも温かくする。
「…して…ほしくない…」
「じゃあさ、俺が栞にキスしたいって言ったら……どうする?」
今度は私の顎を上げていた右手を私の頭に持ってきて、
ゆっくりと撫でる。
「俺にキスしてくれるわけ……?」
目を細め、なぜか少し悲しそうな顔をして、
色っぽい声で囁く。
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