【side 栞】



あの人に遭ったきっかけは、私の友人からの紹介だった。




―――――

―――


「マぁリぃナぁーーっ!!次の数学のテストどーしよっ!?」



「…知らないわよ。だいたい、テスト勉強やってないあんたが悪いでしょうが」



5月のはじめ。


今日から始まる2日間の定期テストの勉強を少しもやっていない私、宇津木栞は
最後の頼みの綱である親友の藤岡マリナ(フジオカマリナ)に
助けを求めていた。



「うぇーん…昨日やろうと思ってたら寝ちゃったんだよぉ……」



「…バカか、あんた。とりあえずぶっつけで行って赤点とって補習うけなさい」



そんなことできないってぇー…



1、2時間目にやった英語と国語はなんとかできたけど…



数学はホント苦手なんだって…。