『――ねぇ、何をそんなに焦っているんだよ?』 すぐ後ろから、囁きかけるように聞こえてくる声。 廉は慌てて振り返った。 そして、目を見張った。 「何で……」 『戸惑うのも無理はないかな』 そこに立っていたのは、廉だった。 黒い髪も、そこから右に伸びるアホ毛も、少し大きめの目も健在だった。 唯一違うところと言えば、目が赤くて光が無いところだろうか。