* 「はぁ……」 思わず口からため息が漏れる。 途端にリュカが彼の方を向いた。 「何よ?」 「いや、別に」 彼は新しく貼り直したガーゼをさすった。 ローブの裾は綺麗に直っている。 リュカが魔法で直してくれた。 しかし、何故だか彼女は頑なに廉の傷を治そうとはしなかった。 「もしかして、私がアナタのほっぺた治そうとしなかったの、気にしてる?」 「いや、別に」 「じゃあ、何でそんな不機嫌なのよ」 「いや、別に」 「……」