眉を下げ、困ったような表情をしていたリュカだったが、突然血相を変えて叫び出した。 「危ないっ!左よ!」 廉はハッとした顔をし、左に向かって少し大きく鎌を降り落とした。 手に微かな手応えを感じた。 いつものように何かが斬れる感じではなく、周りの空気をバケツに掬っているような、そんな手応えだった。 「なんだ……今の」 「それが悪霊。人に取り憑く前のモノよ」 「そうなんだ」