その代わりに、プチっという音と共に、今度は左頬を液体が流れ落ちていった。 「あららららら」 「落ち着きなさいよ。ただのかすり傷よ」 「そんなの分かってらぁ!」 廉は左手で流れ出た血を拭うと、もう一度鎌を構えた。 そして、リュカの方を見ずに文句を言う。 「だいたい、10時の方向なんて表現、聞いたこともねーよ」 「あら、そうなの?」 「そうだよ」 「日本じゃ浸透していないのかしら。それとも単に、アナタの理解力が無いだけなのか」