「しっかりしなさいよ」 「もう嫌だ。気が滅入る」 「それは分かるけど……」 困ったように眉を下げるリュカ。 そんな彼女に向かって、廉はボソリと問い掛けた。 「あと何回繰り返すんだよ……」 「……」 弱音とも取れる問い掛け。 それに答えるでもなく、彼女はただ黙り込んだ。 鈴虫の鳴く声が耳に入る。 それすら鬱陶しく感じていた。 やがて、リュカがおもむろに口を開いた。