席を占領され、廉のところに逃げてきた正紀が言う。 彼は机の上に座り、様子を観察していた。 「いいよな、転校生って。ちやほやされて」 「最初のうちだけじゃね?」 「廉……意外と冷めてるんだな」 「そんなこと無いと思うぞ」 蘭に羨望の眼差しを向ける。 自然と口からため息が出てきた。 そんな廉の視線に気付いたのか、一瞬だけ蘭が彼の方を向いた。 そして、小さく微笑んだ。 「あ……」 思わず廉の目が大きくなる。