正紀の視線に流され、同じように窓の桟を見る。 廉の視線に気付いたリュカが、不機嫌そうに彼の事を見つめた。 廉も彼女を睨み返し、もう一度正紀を見る。 「おい、どうしたんだよ?」 「……いや、何でもない」 首を横に振る正紀。 そして彼は眼鏡を押し上げ、黒板の方を向いた。 「何かあったのか?」 「いや、何もない」 「マジでか」 「マジでだ」