「次、生まれ変われるんだったら人間がいいな……」

どこか悲しげに呟く。
そして、廉に向かってとびきりの笑顔を見せた。

「さようなら」

「……サヨナラ」

廉も返し、大きく鎌を振りかぶった。

確かな感触。
彼女の首は、胴体から離れた。

床についた瞬間、彼女の身体が光に包まれた。

そして、本当に綺麗な一本のカトレアの花が、廉の目の前に落ちた。

「カトレア……」

廉は崩れるように座り込む。
カトレアの花に雫がポタポタと溢れ落ちた。

リュカが結界を解く。
しかし、二人ともその場から動こうとしなかった。

やけに静かになった部屋。
そこに、廉の小さな泣き声だけが静かに響いた。