廉は小さく頷くと、カトレアの方を向く。
そして、ゆっくりと口を開いた。

「オレ、まだ何か色々と信じられない。あの蘭の態度が全部嘘だったとか、そう思えないんだ」

「……おめでたい人ね」

廉を見下すように、嘲笑うカトレア。
彼は首を振り、話を続ける。

「だってオレの手握ってくれた時、凄く温かかったし。何かオレも幸せな気持ちになったし。
……でも君がカトレアで、今までそう言う実験してきたんなら、オレは倒さなきゃいけない」

「……」

「悲しいけど、友達殺すとか本当は凄く嫌だけど……オレは最後まで"死神"の役目を果たすよ」

廉の目が揺れる。
カトレアが彼から距離を置く。

目頭を一瞬だけ押さえると、廉はカトレアに向かって駆け出した。