「見た目はそんなに変わってないよ。
ただ、この鎌で刈られた者は、もう誰も思い出すことができなくなると言う魔法を掛けたわ」

「と言うと……」

「存在そのものが無くなる。"カトレア"と言う者は、元からいなかったってことになるの」

「……」

「彼女のしたことは、あまりにも大きすぎた。
私達妖精の心に、傷が深く残ってる。
だったら、最初から"無かったこと"にした方が好都合なのよ」

「そっか……」

何故か廉は寂しそうに呟く。
そんな彼の背中を正紀が押した。

「今回、俺らは手出ししないから。
今どんな気持ちか分かんないけど、お前の思うままに戦ってくればいいんじゃね?」

「……うん」