「恐らく、彼女は見えていない。見えなくても、不思議な力を持っている人は、世の中にたくさんいるわ」

「なるほど……」

ふむふむと頷く。
彼はもう一度、教室の中を覗き込んだ。

相変わらず、二人は楽しそうに談笑している。
その手は、しっかりと握られていた。

「山吹も、不思議な力を持っている人の一人なのかもな……」

正紀は、しみじみと二人の様子を垣間見る。

正紀も含め、ほんわかした雰囲気が二年六組から漂い始めている。

「……」

ただ一人、リュカだけが険しい顔で窓の外を眺めていた。