蘭が安堵のため息をつく。 廉は首をかしげた。 「何かしたの?」 「私の気持ち、ちょっと込めてみた」 「マジでか!」 少し舞い上がる。 廉は嬉しそうにニカッと笑い、蘭の手をギュッと握り返した。 「蘭、ありがとな!」 「え?う、うん!」 名前を呼ばれ、蘭は少し驚いたような顔を見せた。 そして彼女は軽く頬を染め、小首を傾げてニッコリと笑った。 『ハッ……』 意識の奥で、レンの笑う声が聞こえる。 彼はしばらくその場に留まっていたが、やがて気配を消した。