リビングのドアを閉めると、彼は黒い革靴を履いて家を出ていった。 なるべく人のいない場所へ移動する。 闇に溶け込むような、黒い服を着ている廉を気に留めるような人などいない。 彼は人気の無い公園に入ると、黒い布をバサッと広げた。 「ククク……今夜も始まるのね」 何処と無く聞こえてくる、女の子の楽しそうな声。 そんな声を振り払うように頭を振る。 「リュカ、うるさいよ。毎日オレがどれだけ命懸けてるか知らないだろ?」