左手を頬に当て、ガーゼを触る。
その手に自分の手を重ね、もう一度心配そうな顔で廉を覗き込んだ。

「ホント、何してるか分からないけど……気を付けてね」

「うん。兄妹喧嘩もほどほどにする!」

「そう言う意味じゃ無いんだけどな……」

苦笑いをする蘭。
きょとんとする彼を、少し上目遣いで見た。

「廉くん……」

「……」

廉の胸が激しく高鳴った。

変な感じがする。
心の奥で、何かが反応している。

彼は蘭の手を振りほどくでもなく、流されるままに彼女を緊張した面持ちで見つめていた。