一瞬の間、そして廉と楓は走り出した。 普段の楓とは思えないほど早く、一気に廉に詰め寄る。 そして、持っていた鉄パイプを振り上げた。 「ぐっ……」 鎌で防ごうと、咄嗟に柄の部分を出す。 それも虚しく、鉄パイプは廉の左手の指に当たった。 彼が地味な痛みによろけ、体勢が崩れる。 楓はここぞと言わんばかりに、パイプを突き出す。 「廉!」 正紀が叫び、楓の方に銃を向ける。 それを見た彼女は、正紀の方へ駆け出してきた。