「ここかあ…。相当荒れてんな。」

そうポソリとつぶやきながら、私桜木彩美はひどく汚れた正門を通る。

そう。今日から私はこの荒れた高校にこれから通うのだ。











私がここに転校してきたのは、当たり前だが理由があるからだ。


私は世間から見ていわゆる『不良』らしい

普段の私は普通の女子高校生とほぼ変わりない。
だが、なんらかの衝撃によりスイッチが入ると、荒れくれた人のように暴れだすのだ。

だが、転校した本来の理由は別にあった。原因はある女子のイジメが原因だった。

その女は、いつも気に入らない奴がいたらよくいじめていた。

しかも他のみんなは見て見ぬ振りをしていたのだ

なんせその女は社長令嬢で、逆らったりしたら親の仕事に何か手を回されるかもしれない恐れがあるからだ。

だからその女が何をしても、誰も助けてやる事すら出来なかった。

女のイジメのターゲットは1ヶ月ぐらいごとに変わってゆく。

そして、ある日。

ターゲットが私になったのだ

しかも私へのイジメは相当なものだった。

女は私を他の人の手によってイジメる事を始めた。

もちろん他の人は私をイジメたくなんかないはず。
みんなイジメの苦しさを知っているから。

けど、やらなきゃやられる

その恐怖に耐えれず、私に『ごめん』と泣きながら顔で言いながらみんな私の頬を殴ったのだ。

女は、その光景を楽しそうな微笑みを浮かべながら私を見ていた。

許せない…

その次の日ついに私の感情が爆発したのだ。






次の日、女が私の前に来て、私を蹴り飛ばした。
いきおいで私は床に叩きつけられた。

その光景を見てゲラゲラと笑う女。

その瞬間から私の一時の記憶がない。

気付いた時には、口から血をたらした女が腹を抱えて倒れていたことだけ。

周りのみんなは私を見て後ずさりする。

その時私は理解した













―私がやったんだ―
















それから、あの女が私に手だしする事もなくなった。

というより、女自体学校に来なくなった。

それはそれで良かった。だが、今度私を待っていたのは、周りの怯えた視線だった。

あの日から私は周りのみんなから密かに『野獣女子』と呼ばれていた。

あだ名がつけられてからは、周りに声をかける事すらできない。

周りに声をかけても返ってくる言葉はみな同じで、『ごめんなさいごめんなさい、お願いだから殴らないで』という言葉だけ。

寂しい毎日を繰り返すうちに私は学校に行くことがなくなっていった―