小さい私には夢があった。

大きくなったらカッコイイ人と素敵な恋愛をして純白のウエディングドレスを着て皆が憧れる家庭を築くー。
たったそれだけが小さい私の夢だった。

高校3年のある日ー。

「えっ東京出張じゃなくて」

『あーあ。急に本社からお呼びがかかって行くことになったんだ!』

「……」

『寂しくなるなぁ…桜ちゃんと逢えなくなるのは…』

この頃のあたしは20代半ばの男性と付き合っていた。
わかってはいたのだ。
この恋に未来なんてないことを…
でもこんないきなり、そんなあっさり
バカバカしくて泪もでないよー。

『泣いてるじゃん!』

「だって…皐ちゃぁぁぁん」

『だからやめぇゆうてたのに。』

「だって…好きだったんだもん…」

『何かしてさっぱりしたらどうや』

「よっし!今からカラオケに行こう!」

うんそうしよう。
そうしたら綺麗に忘れられる。
吹っ切れるだろう…

『悪いんだけどもう卒業式 始まってるんだよね~』

「ウソッ!やっば~」