「無理だと思うぜ?」


私が新に背を向けた時。明らかに私に言っている新の声。



「…何が無理なのよ」



新に背を向けたままで、私は刺々しく言葉を返した。



「忘れたのか?俺が誰の息子なのか」


「………っ!」



耳に生暖かい風を受け、私は反射的に後ろを振り向いた。



今、耳っ…!



「……な、」



目の前には、新の顔。



ち、近い…!距離は鼻先数センチ。少しでも動いたら、鼻どうしがくっつきそうだ。



「ちょ、離れて…」


「お前に拒否権は無いの」



―――――――な、



新に顎を捕まれて、私は無理矢理新と目線を合わせされる事になった。




う、うわ………



ゲームの時は怒りが先に行ってて気づかなかったけど、



長い睫毛に、スッとした鼻。


薄い唇に、漆黒の瞳。


少し茶色がかった髪はサラサラで。




……キレイ…………




認めざるを得ない綺麗さだった。