何を言っているんだろう、新は。



意味が分からなくて、ゆうちゃんに顔を向ける。それと同時、ゆうちゃんも私に顔を向けた。



二人とも頭に疑問符を浮かべていた。




「えーと…お前、笠原だっけ?」


「!?」



かさはら、ゆうちゃんの名字。



突然出てきた自分の名字に、ゆうちゃんは驚いた顔をする。



「それと、お前―…なんつぅの?」



「榎本です!」



つい反射的に出てきてしまった自分の名字に、ゆうちゃんは「言っても意味ねぇだろ」といった視線を私に送る。




そうだ。新はまだ放送室。ここから放送室は遠いし、それにもしかしたら私じゃなく他の誰かを指しているのかもしれない。



だけど私の予想は、難無く崩される。




「そうか、榎本か」


「「!?」」



思わぬ返答に、私とゆうちゃん二人同時に目を見開いた。