「俺が、理事長の息子な事」



知恵美ちゃんから聞いた話。



“新君は、理事長の息子”


“だから、先生達も皆逆らえない”


“新君の命令は絶対”




理事長は息子に甘いらしくて、ある程度の息子の行動には目をつむっているらしい。



…これがある程度なの?




「…ありえないよ」



「お前も早く逃げたら?いーの?俺に告白されても」



別に、アンタなんかに告白されるなんてちっとも思ってない。



「学園の王子様だかなんだか知らないけど、変な事に私達を巻き込ませないで」



「…お前さ、正義感強すぎ」




………え?



足をぶらぶら揺らしながら、椅子に腰掛けている新を私は呆然と見る。




「一々うるさい。ただの暇つぶしに口出さないでくれない」



…暇つぶし?



「お前らは暇つぶしの駒ってワケ。ほら、分かったら早く逃げろ」




………ブチッ


私の怒りゲージはもう、満タンだった。




「さーて、俺は高見の見物でもしてようかな」


「…っ、ふざけんなアホぉっ!!」



バキッ!




最大限の力を込めた右拳で新を殴り、




私は放送室から飛び出した―。