数秒間、じっと視線を送っていたら振り向いた阿部くんと視線が交わる。
はっとした私は、顔を朱色にして唇から血が出るほどぎゅっと噛み締めた。
恥ずかしがる私なんか知らない阿部くんはニコッと笑って私を見る。
それから腰の下の方で小さく手を振ってて。
キュンって音が鳴った。
ふるふふ頭を左右に振って、胸を押さえている内にベンチで座ってた阿部くんが立ち上がって、コートの中へ入ってく。
バスケの格好をして、ボールをパスしたり、シュートしたり。
はじめて見た真剣な姿に意味もなく泣きそう。
ドキドキして、胸が締め付けられて、心が熱い。