「七虹の事……傷つけちまった……」
「あ…?」
呟いた俺に、竜は無愛想に問い返す。
「一番、傷つけたくなかったのに……」
そうとだけ言うと、竜は黙った。
「………浅野の事、もう少し早く、分かってたら、こうはならなかったかもしれないのに……」
「…………」
「もう、本当、
馬鹿だ、俺………」
自由の効く片目から、頬へ
冷たい水滴が伝う。
思い通りに行かなくて、悔しい。
それだけじゃない。
七虹を、
一番傷つけてはいけない人を、
傷つけてしまった。
自分の、未熟な行動のせいで……
後悔から出た涙のせいで視界がぼやける。
竜の表情も分からない。
と。
「………あぁ。
お前、本当に馬鹿だ。」
竜の低く冷たい声。
分かってるよ。
そう言えずに、唇を紡いだ。
「新垣はな、
自分で自分苦しめてんだよ。
それくらい分かれ、馬鹿野郎。」
「…………は……?」
(自分で、自分を……?)
竜の言葉の意図が読み切れず、
聞き返す。
竜の表情が見えるようになると、
竜が少し怒ってるように思えた。
「りゅう……?」
「アイツの事だ。
自分のせいでお前の、
祐大の体に怪我させたって、そう思って
病室きたとき泣いたんだよ。」
「っ……そんな、
七虹のせいなんかじゃ……」
「誰かがそう言ったって、アイツは自分で自分を苦しめる。
そうだろ?新垣はそういう奴。
それを一番知ってんのは祐大じゃないのか?」
「………七虹のとこ、行きたい…」
「だーめ。病人は大人しくしてなきゃ。
そうだろ、竜。」
「ナイスタイミングだ、翠。」
「えっ…………」
病室のドアが開く音と共に足音が近付く。
包帯が巻き付けてある方の目のせいであまり状況が分からないけど、
どうやら篠原が来たらしい…?

