私は手に力を込める。 大好き。大好き。 「瑠衣…」 抱きしめられた手が離れる。 修太郎くんの泣き顔。 初めて見た、修太郎くんの弱さ。 顔が近付いてくる。 私は目を閉じた。 「瑠衣…」 修太郎くんに髪を触られる。 『瑠衣』 そのとき、脳内に竹ちゃんの顔が浮かんだ。 触れるだけの唇。 私は罪悪感と安心感に包まれる。 初めてのキスは、涙でしょっぱかった。