ふと、隣で眠っている雪に目を向ける。 さっき苦しんでたのが嘘のように、ぴくりとも動かない。 一瞬、死んだんじゃないか…と不覚にも思ってしまった。 そんなバカなことを考えないように、窓越しから外を見る。 もう、屋敷の中に入っているようだ。 けっこう大きいな… 車は静かに止まり、後部座席のドアが開かれた。 「着きました。今から客間をご用意致しますので、それまでお嬢様を見ていただいても宜しいでしょうか」 執事は有無を言わせない口調で淡々と俺に告げた。