「書かれる馬鹿が悪いんだろ、出版社にバンバン電話きてんだよ」



バサバサと紙の束を叩きつけているような音に身体が恐怖で固まる。それに舌打ちをしてみせる機嫌が最悪な彼。



「やめて、叩きつけるの。コトが怖がる」

「……悪い、ごめんね小音ちゃん」

「座りなよ、あと…分かってんだろ」

「……とりあえず、相手側ときっちり話しをする。その話はここじゃ無理…か」

「無理」



何で私は朝から息を潜めているんだろうと彼女は疑問を感じつつも、外気が異様な雰囲気なのを察して仕方なしに続行する。


しかし、その脳内で考えるのは被せられる前に目にしたもの。熊谷さんが手にもって荒々しげに見せてきたものが脳裏にこびりついている。



―――所謂、週刊誌。



それ自体はべつにどうでもいい、問題なのは熊谷さんが提示した見開きのページの方。


たった一瞬だけど、しっかり彼女は瞳で確認し脳に記憶した。


だって。



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そんなものを見せられたら、


――忘れられる、わけがない。