ふわふわしたような、だけどしっかりと感じるそのタオルケット越しの体温に恥ずかしくなる彼女。
「コトは小さいねー」
「先生が大きいんです」
「細いんだよ、全く。ちゃんと食べさい、だめでしょ」
「(なんでいきなり説教…)」
きゅっと彼女の腰に回る腕はその細さを確かめるように滑る。
「…(折れちゃいそう)」
「近い、先生近いです」
「いいじゃん、仲良し」
女子高生のような軽口を叩く変態小説家はさらに距離をつめて宝物を抱き抱えるように彼女を扱う。
腕枕の役割をするはずのそれは彼女の頭を引き寄せるものになる。
タオルケットの隙間から見えるのは彼が着ているTシャツだけ。そのせいで彼女の世界は今、彼色に染まっている。
「(墓穴ほった…)」
彼の香りに完全包囲された。だけどそれは拘束というには優しすぎて、寄り添いというには強い締め付けだった。

