それでもやっぱり寝ることなんかできないこの状態に彼女は家に帰るまでは、と我慢。
「先生、寝るならお一人でお願いします」
このままでは寝てしまうと危険を察知した彼女はきょとんとする彼の拘束をすり抜ける。
繋がれてた手は案外あっさりほどけてしまう。
するりと抜け出してキングザイズのベッドから足を延ばしてフローリングに着け――…。
ぐん、と引かれた体は背中からダイブ。先ほどとは違う場所に寝転がるかたちになる。
犯人は勿論。
「先生……」
「随分いい度胸してるね、コトは」
心臓が震えた。
どくんと音をたててきゅっと締まるのを感じる。それはきっと彼の綺麗すぎる、鋭い瞳のせい。
「逃げるなよ、泣かせないから」
そのくせ、発する言葉は案外弱かったりするので矛盾している。

