‐彼と彼女の恋物語‐




「ね、コトは聞きたいことないの?てか聞いて!」

「ないですね」

「(即答…っ!)あるでしょ、聞け!」

「………血液型とか…」

「なんだと思う?」

「もう黙ってください、すいません」



疲れる。心底疲れる彼の相手は。重いため息を少しだけ強く吐いてみると焦ったように彼が。


「O型です!」



なんて叫ぶ。ああ、そうですかと至極興味のなさそうな冷めた返事をした彼女はもう何も喋りたくないのか身体を丸めた。



「そうしてるとミーヤみたいだね、可愛い」

「(猫みたいなのか、私)」

「因みにミーヤはもっと背中丸めて手を伸ばして甘えてくるんだけど、どう?」



なにがどうなんだ。と彼に聞き返すには些か怠すぎる、疲れた。雇い主には失礼だが無視を続行するのが最適だ。



「甘えないの?すりすりしていいよ、コトなら大歓迎」

「(眠い…かも)」

「照れてるの?恥ずかしいのか、そっか。可愛いね」



煩い、はずの声音は心地いいテノール。そのせいで彼がいくら喋っても食事後の誘惑にしか聞こえなくなってくる。