‐彼と彼女の恋物語‐




冷たい水に手を当てながらも覚めない唇の熱。


いつもなら日常的に朝からセクハラ紛いなことをされてるため、時間差でされた行為が鮮明に記憶に残っている。


「(どきどき、する)」



オレンジの香りがする洗剤のせいなのか、はたまた違う理由なのか。甘酸っぱいなにかが不確定な場所をさ迷う。


不明瞭な気持ちに気持ち悪くなってしまう。手早く食器を片付けて冷えた手をタオルで拭う。

と、出口を振り向いた瞬間。戸のないそこに寄りかかる背の高い彼に思わずびくりと肩を揺らす。



「どう、したんですか」

「終わった?」

「終わりましたけど…」

「じゃあ、次こっち」



手招きをする彼の側に行けばそのまま手をとられ歩いたのは彼の寝室。



「掃除なら昨日やりましたよ。先生がいなかったんで」

「うん、ありがと。シーツいい匂いした」

「………あの、何がしたいんですか」