「小音ちゃん目当てのお客様が絶えないんですよ」



ありがたいです。なんて経営者目線で語る優子さんは明らかに面白がっている。



「ありがたくないですから。こっちは毎日バイトに行かせたくなくて必死なんですよ」



彼の本音としてはバイトなんてしないでずっと側にいて欲しいのだが、彼女が頼りきるということに慣れておらず。


また、息抜きも必要だろうということで週2日までという条件つきでなんとか許している状況。


時間も迎えに行けない日があるといけないから夕方6時までと決めている。

束縛したいわけじゃない、彼女が無自覚であり危機感のない美人だからそうすることで守りたいのだ。



「そういえば小音ちゃんから聞いてますか?」

「……いえ、何か?」

「(言ってないな…)この間お客様に誘われたって話です」

「…………」



そう言えば思い返してみれば先週、バイトから帰って来た日に出迎えたらちょっとおかしかったことがあった。


問いただしたかったが話したそうではなく、距離を取りたがっていたので様子見をしていたのだ。