―――――浮き足立つはずの聖夜に、彼女はひたすら焦りと見えない不安と戦っているのだ。
シュークリームを平らげた彼は腕のなかにいる彼女を一通り撫で回してやっと解放した。
「今日中には終わるから、拗ねないでね」
ぽんと置かれた手のひらにこくこくと頷けば満足気に微笑む小説家。
そのまま部屋を後にしてキッチンへと足を向けて、止まる。トレイを些か雑に置いて急ぎ足で自身の部屋へと駆け込む。
クローゼットを開けて隠すように隅に置いてある可愛い紙袋に緊張気味に手を伸ばす。そっと中を覗けば未だ未開封の下着たち。
「どうしよう…クリスマス…」
焦る心。だけど、どこか深い場所で期待している自分もいて。あと何日か、時間があればいいのにと不可能な願いばかりを思う。
時は。
刻々と。
迫って来ている。
「………敬、さん」
迫って来ているのだ。

