「買った買った。テンションあがっちゃいましたよー!」



帰宅したのは数時間後。帰ってきて早々にリビングで買ってきた下着たちをなんの抵抗もなく並べはじめた山下あずさに最早何も言わない彼女。



「どうぞ、コーヒーです」

「わ、ありがとうございます!」



変態親父のようにニヤつきながら下着を凝視していた山下あずさは瞬時に首を回しカップを受けとる。


ちらりとフローリングを目の端にとらえれば軽く10セットはあるだろう。



どうするんだろう。なんてぼんやり頭の隅で考えながらソファーに腰を下ろす。と、すぐに目の前に数着の下着が並べられた。



「これ小音さんのだから!!!」



強引にごり押しされたきらびやか且つ清楚な色合いのそれらに引きつつも言葉を返す。



「いや、あの、お金とか」

「プレゼントです!返却不可です!」

「え……でも高いんじゃ」

「セールでした!50%オフです!」



よく分からない言い分で受け取らせようとする山下あずさにやんわり断りを入れてみるがなかなか退きそうにない。



「(こんなのもらえないのに…)」



洗濯したときに彼に見られでもしたらと思ったら絶対に受け取れない。迫り来る美人モデルに対し口を開こうと息を吸ったとき。


幸か不幸か、救世主が現れた。



「コトー、山下も来てんのか」