‐彼と彼女の恋物語‐




「ごめんなさいいい、ちょっと焼きもちやかせようとしたら凄いことになっちゃって、そしたら敬さんがすっごく怖くてえええ!」



号泣しながらマシンガントークをかます山下あずさはメイクぐっちゃぐちゃで、髪は張り付き。ホラーだ。



「えっと、あの、先生」

「んー?」

「……大変なことになってますよ!」

「ね、悲惨」

「…………」



熊谷さんは我関せずと言わんばかりに買ってきたらしいそれをさっさと取り出している。



「謝らなきゃって思ってたんだけど本格的にフラれるし、マネージャーは怒るし、もう病み期みたいな!でも敬さん怖いからあああ…!」



まとまりのない発言だけども確かに伝わるのは彼が怖いということ。ひしひしと痛いくらいに伝わってくるそれは相当のことがあったのだろう。



とりあえずこの場にいるのは彼と熊谷さんとミーヤと号泣するモデル。事態を収集しようなんてやつはいないらしい。



「先生、あの、離してください」

「んー」

「夕飯いらないんですか」

「おい山下、お前のせいで夕飯なくなりそうなんだけど」

「ごめんなさいいい!」