‐彼と彼女の恋物語‐




甘い、甘すぎる空気を漂わせる彼はこれでもかという程の色気をただ漏れさせている。



「(すごく見てる…)」



心臓が壊れちゃうと心配になるくらい。瞬きひとつにだって脈が速くなる。


と、



「あ、」



突然声を上げた彼は彼女が着ているジャケットに手を伸ばすと入れたまま忘れていたらしいそれを取り出す。



そしてちゅっと、ごく自然に目尻に口づけをすると。



「ちょっとだけ待ってね、電話しなきゃ」



そう言って片手は握ったまま、色気ただ漏れのまま、彼は何処かへかけ始める。



「(緊張する…)」



静かにしなくちゃいけないと思えば思うほど何故か人間は派手なことをしてしまいそうになる。



とりあえず何かしなければと思っても腰も手も彼に捕まれているし、ミーヤなんかは既に寝ようとしてるし。



手持ちぶさたで落ち着かない。


「(もう…)」



結局、彼の胸に額をくっ付け静かに呼吸するしかない。それを愛しそうに見つめる彼は口許に浮かぶ笑みを消そうともしない。