冬の刺すような冷たさが広がる駐車場。そんな場所にシャツとエプロンの彼女は思わず身震いをする。
と、直ぐに華奢な肩にかけられる大きめのジャケット。隣に立った彼は袖口に隠れた手を拐うと行こうかと甘く囁いた。
―――半年ぶりにみる扉を前に忘れていた緊張がぶり返してくる。ああ、帰りたいすら思う。
しかし意図にはかなわず彼はさっさとそこに鍵を差し込むと何の迷いもなく開けてしまった。
玄関口でも手を離さない彼は無造作に自分の履いていたものを脱ぎ捨てると、未だ脱ぎかけの彼女を若干引きずるようにして部屋に連れ込んだ。
「(靴が……)」
途中、抜け落ちたスニーカーが落ちていったが振り向く隙も与えられなかった。
そしてたどり着いたのは何も変わってないリビングで、彼女は促されるままソファーに腰かけた。
斜め向かいにあるそれに座った彼は煩わしげに髪を書き上げると真っ直ぐ、彼女の瞳を覗き込んだ。
「……コト、何から話してほしい?」
「―――――」
「何から話せばいい?」
綺麗な指先を彼女の頬に滑らせると悩ましげに眉を寄せる。色気たっぷりのそれに思わずどきり、心臓が跳ねる。
「…(どうしよう)」

