カーテンで仕切られた着替え場所に入り手慣れた様子で着替えを進めていく。


黒のエプロンの腰ひもを前で結んで数秒、あの刺繍が入ったエプロンが気にならないといったら嘘になるがもういい加減割りきれた。



手早く着替えを済ませてロッカーに服を入れておく。ちらり、備え付けの鏡で束ねた髪を確認して準備万端。



壁にかかるアナログ時計を確認したところ開店まであと数十分らしい。彼女は扉をあけて店内へと足を滑り込ませる。



「優子さん、手伝います」

「ありがと、じゃあ残りの具材切っといてくれる?」

「わかりました」



喫茶店のキッチンはコーヒーを淹れる様子が客から見れるようになっていて、その隣では軽食を作れるようになっている。



指示された通り優子さんが切ってたであろう残りの具材をザクザクと切っていく。



切り終わりトレーに並べ終わったころには会社に行く前に朝食を済ませる客や、徹夜明けで疲れたようなだけども達成感を顔に浮かばせた常連たちがそれぞれの定位置へとかけていた。