その言葉を言って、3人は別れた。


…残された柚稀は、カフェの中を見回す。

変わらないなぁ、いつでも。
ここに来ると、あの時の自分を思い出す。


今でも大好きな場所。

そして、あの人と出会った場所―――。



「――柚稀」


後ろから、柚稀の名を優しい声が呼んだ。


柚稀はとびきりの笑顔で振り返る。



「幸也さん」



振った左手の薬指で、ダイヤの婚約指輪がキラキラと輝いた――。