でも、少し元気出たかも。


「ありがとね、龍」

「…何がですか?」


多分、龍は今照れてる。
暗くてよく見えないけど、多分そう。


「焼きそば」

「素直ですね」

「龍も素直になれば、もっと可愛くなると思うけど?」


そう言うと、龍はため息をついた。


「…先輩は、可愛い男の方が好きなんですか?」

「え?」


いきなり、何?

龍を見ると、こっちを見る真剣な目。


とりあえず、あたしは答えた。


「まぁ…、ね。あたしはどっちかっていうと、可愛いよりかっこいい方が好き…かな?」

「じゃあ、僕の事を可愛いなんて言わないでくださいよ」


え…?

思わず焼きそばを落としそうになる。

――それを、間一髪で龍が受け止める。


そして、小さな声で言ってきた。


「僕、先輩にかっこいいって思われたいんですが」

「!?」


そ、それって…、どういう意味…?


聞こうとすると、龍はあたしにくれた焼きそばを持って歩き出す。


…一方のあたしは、龍の言葉を考えてた。

あの質問からの、あの言葉。
これって、もしかして…?


「り、龍!!」



あたしは先を行く龍を追いかけた。