―――後夜祭では、焼きそばやカレーなど、各クラスの出展していた食べ物屋がグラウンドに並んでいた。
…2年の部の1位は、2組のかき氷だった。
今日は暑かったし、売れるのも当然だよね。
でも、あたしたちの5組は2位。
1位とはわずかな差だった。
悔しいけど、充実した1日だったな。
ちなみに、3年の部は今出展中のカレー。そして、1年の部は…
「先輩、お疲れ様」
「ん、龍」
焼きそばを2つ手に持って、龍があたしの前に現れる。
…あたしの分だって、すぐにわかった。
『先輩は、黙って僕に奢られてください』
その言葉を思い出して、あたしは素直にそれを受け取った。
龍は嬉しそうに笑う。
その表情にときめいてしまう。
「…あ、龍、1位、おめでとう」
「ありがとうございます」
1年の部の1位は、4組の《夏祭りの屋台》だった。
金魚すくいとか射的とか…、考えたなぁって思ったよ。
自分のクラスが1位なんて、実行委員としては嬉しいよね。
あたしは、委員長なのに…。面目ないなぁ。
「僕的には、2年の1位は5組だと思うんですがね」
「え?」
「和菓子って、かき氷よりも美味しいですよね?」
…これは、慰めてくれてるの?
「先輩も、そう思いません?」
「え?あ、うん…」
「まぁ、かき氷も和菓子の部類ですけどね」
…そうなんだ。



