「…先輩が僕を頼らないのって、それが理由ですか?」
「それ?」
「年上だから。って」
あぁ…。
「そ、そうだけど」
そう答えると、龍はまたため息をつく。
今度のは、さっきのより大きかった。
…なんでそんなにため息つくの?
「先輩って、本当にバカですね」
「はぁ?」
「男と女に、年上も年下も関係ないでしょ」
男と、女…?
どういう事?
首をかしげると、龍はじっとあたしを見る。
「…奢るのは、男の役目でしょ。先輩は、黙って僕に奢られてください。って言ったら、かっこつかないじゃん…」
へ…?
龍はそっぽを向く。
あたしは、それを追いかけた。
…ほんのりと赤く染まった頬。
龍が…、照れてる?
なに、この…可愛い動物…。
って、あたしもなんだか照れてきた…。
綿あめを食べる。
その後のあたしたちは、何も話さずにただ文化祭の雰囲気を感じる事しかできなかった。
…ねぇ、龍。
あたしね、アンタの事が好きなんだよ。
なんて言ったら、龍はどんな反応するのかな?
驚くかな?
『カップルってやつ、本気にしたんですか?』とか言って、バカにされるかな?
…それ、一番ショックかも。
でも、あたしは決めてしまった。
今日の後夜祭に、龍に想いを伝えよう。って―――。



