―――柚稀と麻友のおふざけで、大福と龍の頼んだわらびもち、2つの抹茶は《カップルサービス価格》というもので安くなった。

そんなサービス、作ってないよね!?


あとでみっちり説教してやる!!


「和菓子、美味しかったですね~」


2年5組から出たあたしたちは、他のクラスで売っていた綿あめを食べながら歩いていた。

手は、相変わらず繋がれたまま。


…いつ離すの?
なんて、聞けないし。

この状況に緊張しながらも、喜んでいる自分がいるから。


「僕、なかなか和菓子って食べないから、新鮮でした」

「美味しいでしょ?洋菓子の甘ったるさとは、なんか違うよね」

「それ、綿あめを食べながら言うセリフじゃないですよね」

「え。綿あめって和菓子じゃないの?」

「洋菓子に分類されてるって聞きますよ。元々は外国からきた菓子ですからね」

「へぇ~…」


龍って、そんな事知ってるんだ。意外に博識だったり?


「でも、美味しいからいいじゃん」

「シンプルな味ですよね。僕、綿あめ好きなんですよ」

「そうなんだ?」


そういえば結局、綿あめも龍に奢ってもらっちゃったなぁ。

あたしの方が年上なのに…。

情けないっていうか、なんていうか…。


つか、あたしがサイフを出す前に払っちゃうんだもん!


「…ねぇ、龍。次は何食べる?」

「食いしん坊ですね」

「そんなんじゃないよ!ただ…、大福も綿あめも龍がお金払ったじゃん?だから、次はあたしが奢ろうかなって思って…」

「なんだ、そんな事。別にいいですよ」

「それじゃ、年上としてダサいじゃん」


そう言うと、龍は大きくため息をついてあたしを見た。

…何?この呆れたような目は…。