恋愛話を始めましょう。



「いらっしゃいませー…って、奈波じゃん!」


クラスメイトが叫ぶ。

その声で、柚稀と麻友が顔を出した。


今は、店内担当の時間かぁ。…て、これはまずい!!


ああああ…2人、ニヤニヤしながら近づいてくるよぉ…。


「いらっしゃいませぇ~♪」

「カップル1組様ですかぁ~?」

おのれ…後で覚えてろ…。
特に、麻友!
後で川口と文化祭回ってた事、からかってやる!!


「そうです」


にこっと笑いながら、龍は平然と答える。

って、なぜそこで嘘をつくの!?
カップルって…。あたしら、まだ付き合ってないし!?

…もしかして龍、そういう事に慣れてる?


龍の返事を聞いて、柚稀と麻友は「ひゃあ~っ!と言う。
よく見たら、周りのクラスメイトも…。


「なんだぁ。奈波って、その1年生と付き合ってたんだぁ!」
「やるねぇ!こんな美形捕まえちゃってぇ♪」


事情をあまり知らないクラスメイトたちは口ぐちに言う。


「べ、別にそんなじゃない――」

「先輩、何食べますか?僕、奢りますよ」


…って、何まんざらでもなさそうな顔してるのさ。

いいの?
これじゃあ、あたしが彼女だって勘違いされちゃうよ?


……あたしは嬉しいけどさ。


「……大福」

「リョーカイです」


手を繋いだまま、龍は空いている机に向かう。

…こんな事をしてると、ホントの恋人同士みたい。


……龍の考えてる事が、本気でわかんないよ。

あたしの事、どう思ってるの?