恋愛話を始めましょう。




―――午後になった。

ステージ発表が始まる。


クラスの担当時間が終わり、あたしは体育館に向かっていた。

甘味処の入りは、けっこうよかった。

呼びこみがいいのかな?
それとも、和菓子が好きって人が多いのかも。


とりあえず、成功しそうかなっ!


…でも、ちょっと疲れたかも。

誰か、あたしの肩を揉んでくれる人はいないかなぁ…。



「お疲れです~」


と言いながらあたしは裏に入る。

放送部の先輩が会釈する。


「木下ちゃん、大丈夫?」

「え?」

「委員長。けっこう大変じゃない?」


先輩、いい声してるなぁ。
あ。よく見たら、美人。


「本来なら3年の仕事なのに。未だになんで2年の木下ちゃんがやってるのかが謎なんだよね」

「あはは、なんででしょうね。でも、楽しいから結果オーライですよ。
それに、文化祭が成功したら、あたしが一番達成感を感じられるじゃないですか」

「まぁ、木下ちゃんが楽しいならいいけどね」


先輩はにこっと笑うと、ふふっと笑った。


「…木下ちゃんさ、谷原 龍之介って知ってるよね?」

「えっ?」

「あれね、私の弟なんだ」

「お姉さんなんですか!?」


うわ…。なんか、急に緊張してきた…。

好きな人の家族…って、緊張する。


…何を話せばいいんだろう?