「―――先輩!」


――龍の体に、あたしの身体がのしかかる。

そのまま、龍は階段から落ちてしまう。


…あたしは、龍の上に乗っていたから無事だった。
けど…―――


「龍!?」

あたしの下敷きになってしまった龍は、かなり痛いはずだ。

あたしの下で顔をしかめている。


「あの、すいません!」


どうやらあたしは、階段を降りてきた1年生の女子とぶつかってしまったようだった。
いや、そんな事はどうでもいい。


「ごめんなさい、先生呼んできてもらってもいい!?」

「あ、はい!!」


先生を呼んでもらい、あたしは龍を見る。

龍の息づかいが荒い。そうとう痛いらしい。

……当たり前だよ。
だって、2人分の体重で階段から落ちたんだから…。



「ごめん、龍!大丈夫!?」

「まぁ、なんとか…」


笑ってはいるが、やっぱりいつもの笑顔とは違う。
痛いんだ。そんなの、当たり前だよね。

…あたしのせいだ。

あたしがちゃんと前を向いていれば…。