ま、いっか。

って思って本を読もうとするけど…。


……見られてる。集中できない…。



「…あのさ、龍。用事ないなら、どっか行ってくれない?あ、クラスの準備でもしなよ」

「僕の担当はもう終わりました」

「実行委員なんだから、自分の事だけじゃダメでしょ。つか、手伝いなさいよ」

「その言葉、先輩にも言いたいです」

「…あたしは、文化祭に関係する事をしてるの」

「茶道部の人いるんでしょ?先輩が知る必要、ないんじゃないんですか?」


…生意気な奴だな…!!

もーいいや!
だいたいはわかったし、何かあったら茶道部の子に聞くし!


「じゃあ、あたしは教室に帰りますよ」


嫌みたっぷりに言ってやった。
なんで龍は、いちいちあたしにつっかかるんだろう!?

本を元の棚に戻し、あたしは図書室を出る。


…龍も、あたしの後をついてくる。


「…何?」

「行く方向が同じだけですよ」

「あ、そ」


なら仕方ないけど…。

階段を上がる。
やっぱり、龍も階段を上がってきた。

…でも、さすがに黙ってついてこられるのは気まずいっていうか…。


何か話した方がいいかと、あたしは後ろを向いた――。



どんっ

「え?」

「あっ」


気がつくと、あたしの足は地上にはなかった。



落ちる―――。

恐怖が一気に襲いかかる。