―――放課後。
少しくらいお茶の事を知っておいた方がいいと思い、あたしは図書室に行って茶道の本を読んだ。
へぇ…、お茶を点てるこの竹、茶筅っていうんだ。
回す回数は…2回。
で、茶碗の正面に口はつけちゃダメなんだ。
…正面ってどこ?
ガラッと、図書室のドアが開いた。
先生かと思って、思わず身構える。
「…あ、先輩」
「龍?」
龍だった。
龍はいつもの笑顔であたしを見てくる。
「こんなところで何してるんですか?暇なんですか?」
「うるさい、暇なわけないでしょ。茶道の勉強よ」
「へぇ、茶道ですか」
龍はそう言いながらあたしの前に座る。
…コイツこそ、何しに来たんだ?
「そういえば、先輩のクラスは甘味処ですね」
「うん、そうだよ」
「意外ですね。先輩が和菓子好きなんて」
「え、なんで知ってるの?」
「僕、先輩の事なら知ってますよ」
そう言ってニヤリと笑う龍。
…それ、って、どういう意味?
変な意味?それとも…。
「あ。ストーカーじゃないですからね。気持ち悪い」
「別に何も言ってないじゃん」
なんなんだろう、コイツは。



