文化祭を2日後に迎えた今日。

だんだんと出来上がっていく文化祭の雰囲気に、あたしは満足感でいっぱいだった。


楽しそうに作業する生徒たちの姿。
それを見ると、実行委員長を引き受けてよかったなぁって思える。

ふと、窓の外に目をやる。


そこには、笑いながら作業する龍がいた。

なんだかんだ言って、龍は文化祭を楽しみにしていたんだなぁ。
でなければ、実行委員なんかにはならないよね。

それにやる気がなければ、あたしに「やる気ないですよね」なんて聞いてこないよね…。

あの時はムカついたけど、あの時龍に言われなければ、あたしはあのままの状態でここまできてた。絶対に。


…龍に感謝だなぁ。


「さて…。あたしも、やりますか!」


気合いを入れなおして、あたしは自分のクラスの準備をするべく教室に向かった。







「イチゴ大福は、とりあえず確保できた!あとは、わらびもちと芋ようかんの確保をお願いします!」


甘味処をやるあたしたちのクラスは、和菓子の確保が第一優先だった。

あとは、クラスに茶道部が奇跡的に3人いるから、許可も取れたし抹茶を点ててもらう事になった。


お茶道具は茶道部に借りるとして…。


「あ。部活ではお茶会やらないの?」

「何席かやるよ。でも、今年は3年生の先輩が主に点てるから、私たちは大丈夫」

「ホントにごめんね」

「いいよいいよ。それよりも、狙おうね、1位!」


茶道部の子たちは、勝ちにこだわってるらしい。
茶道には大会とかないもんね。
こういう機会は滅多にないから、余計気合いが入ってるのかな。

…あたし、茶道部ってもっとおしとやかな感じかと思ったのになぁ。


でも、あたしも実行委員長として、気合いを入れて自分のクラスを推さないと!

負けたら、なんだか面目ない気がするもんなぁ。