じゃなかった。


「懐かれたね」

「わぁっ!?」


気がついたら、後ろには柚稀の姿があった。

って、麻友まで!?


…って、なんだか麻友の顔が…怪しい!?

怪しい顔ってか、ニヤケてる…?


「ふふふ~♪とうとう奈波にも、春が来るのかなぁ?」

「はい?」

「男っ気がなかった奈波に、後輩男子の突然の訪問…。これは、何かの前兆かなぁ」


…いや、ただ単にからかいに来ただけだと思うんだけど。
昨日の今日で、ホントなれなれしい奴。

つか、川口と付き合ってから、こういう恋愛系の話に持っていくようになったなぁ、麻友。
前も、柚稀が何か言われてたような。


…幸せなんだろうな。
いいなぁ……。

つか、男っ気なかったとか、何気にひどいな。

まぁ、ホントの事だけど。


「アイツは、そんなんじゃないよ」

「でも、名前で呼んでたよね?可愛い顔してんじゃん、龍くん」


げ。柚稀まで乗ってきた。


「別にそんなんじゃないし。アイツは文化祭の実行委員で、ちょっと仲良くなっただけ」

「ふ~~ん??」

「もう、うるさい!あたしは忙しいの!」


ニヤニヤとからかう2人に言い、あたしはさっさと自分の席に逃げる。

とにかく、龍…。慣れないなぁ、これ。あたし、男子の事を名前で呼ぶの、初めてなんだよね…。
まぁ、とりあえず!龍をぎゃふんと言わせるために、力の限りを尽くすぞ!!